+ キルギスタン@ ビシュケク・イシククル湖 (2008.08.22-30) |
|
カザフスタンを出たミニバスは、僕たちが先日登ったアラタウ山脈を避けるように西へ向かい、南へと進路を変え てボーダーへ辿り着いた。 ところで、カザフスタンの警官は悪徳であることで有名で、ロシアでお世話になったロシア人に言わせれば 「ロシアの警官に10人会えば1人は難癖つけてくるが、カザフスタンの警官は10人会えば10人とも賄賂を要求 してくる」とのこと。しかし蓋を開けてみると、10日弱滞在したが警官との接触は一切なかった。 しかし出国となると、必ず警官(イミグレオフィサー)と接触することになる。ここで大きなワナが待っていそうな 気がするぞ、カザフではしょっぱなからデイビッドに会って3泊タダで泊まらせてもらったり、うまくいきすぎてた しな。この日のためにしっかりとレジストレーション(※)をし、何の疑われるべきところもつっこまれるべきところ もないはずだ。 (※レジストレーションとは、外国人滞在登録のこと。ロシア・カザフでは全ての外国人旅行者に義務付けられて いる。日記には書いていないが、カザフでは旅行会社すらこのシステムについて知らない人が多く、四苦八苦して 約40USドルも払ってようやく取得した。) さて、国境に到着。いざ勝負、カザフスタンイミグレーション! ・・・2分で終了。 レジストレーションどころか、荷物すらほとんど見てないやん。。心配して損したわ。 続いてキルギスタンイミグレーション。キルギスタンの警官もパスポート見せろとかいって難癖つけて賄賂を要求 してくる輩が多いと聞くからなぁ、これはもういっちょシメてかからんと! ・・・パスポート見せただけで終了。 せめてバックパック一回くらい開けようよ。何でも持ち込みたい放題やん。 ちなみにパスポートを預けた時に部屋の中が見えたのだが、ある係員は無心にひまわりの種を 食っており、またある係員はパソコンゲームに夢中だった。僕は帰国したら是非キルギスタンの イミグレーションオフィスに就職したい。まぁどこの国のイミグレもたいてい働いてるのは2人くらいで、あとは みんなヒマそうやけどさ。 さて、キルギスタンの首都ビシュケク。首都とは思えないほどのこじんまり加減で、おそらく一番高い建物は マリオットホテルかドストゥクホテルという2大高級ホテルのどちらかだろう。この国一番のデパートである ツム百貨店は、ダイエーの1/5くらいの規模である(九州の人にしか分からないでしょう)。 僕はNomad's guesthouseというところに泊まったのだが、少し中心から離れているため、もはや前の通りは 舗装道路ですらなく、非常にのどかな景色である。 かといって、ザ・中央アジアすなわち馬に乗った遊牧民がナイフ一本で暮らしているわけでもなく、ロシア系・ モンゴル系・トルコ系の顔立ちが混在しつつも多くは普通に洋服を着て街暮らしをしている。 よーするに、特に見るべきところもなく中途半端な都会で、自然を堪能できる田舎へ行く起点になるだけの街 である。そう、キルギスタンと言えば天山山脈を始めとする山々のトレッキングと美しい湖などの大自然で有名 なのだ。なんだかビシュケクはポジション的にモンゴルのウランバートルを彷彿とさせる。物価も同じくらいやし。 そんな中途半端な街に計7泊もして何をしていたかというと、昼間から飲んでました。 滞在していた宿はシーズン真っ盛りで西洋人だらけだったのだが、居心地の良いテラススペースがあるので 大体みんなそこで休息をとり、自然と顔見知りになる。その中で何人かと仲良くなり、毎日昼から飲んではしゃべる という毎日を送っていた。ちなみにカザフスタンから一緒のデイビッドも含まれる。 一応ちゃんと観光したといえば、まずは歩いて10分のアラメディン・バザール。庶民の台所といった感じの市場 で、かなり広くてありとあらゆるものが売られている。生肉から野菜、主食、調味料、服、雑貨、食器、機械の部品、 何に使うかわからない鉄クズまで。市民の生活が垣間見えるので、最初は興味深く歩いて写真を撮って回ったが、 何といっても所詮はただの市場である。そのうち飽きて、宿で自炊するための食料を探したり、35ソム (約1ドル)で食えるシャシリクという串焼肉を食うためだけに行くようになった。 ちなみにシャシリクは中央アジアの名物料理だが、カザフでは高すぎて食えなかったため、ここで初めて食した。 店によってスパイスが効いていたりするが、僕はシンプルな塩コショウの味付けのやつが好きだった。 ・・・書いてて気づいたが、こりゃ観光じゃないな。 それからB級都市クラブ巡り第3弾として、歩いていて偶然発見したドストゥクホテル内にあるクラブ「Heaven」 にもデイビッドと共に行ってきた。活気のありそうな土曜日の晩に。 まずは他にもクラブがないか聞き込みを(デイビッドが)すると、とある場所を薦められた。そこへ行ってみると、 クラブではなく水タバコの吸えるバーだったのだが、オープンテラスなんぞあり、音楽も雰囲気もオシャレで、とて もキルギスタンとは思えなかった。そこのカウンターでウォッカを飲みながらバーテンダーの兄ちゃんに聞くと、 やはり「Heaven」の名前が出たため、思い切って行ってみる。これがまた、かなり面白いクラブだった。 入場料は300ソム(=約1,000円)、これはキルギスの物価から考えるとかなり高い。高いだけあって、客は みんな金持ちそうな奴らばっかり。女性のレベルはすこぶる高く、カザフスタンに逆戻りしたかというほどロシア 系美女が多い。 まず最初はギリギリ踊れるくらいのキルギスダンスミュージック。ビール(90ソム=約300円)を飲みながら あがるのを待つ。ステージは無いが、前の方がダンスフロアになっていてポールが2本あり、ちょっとセクシーな お姉さんが2人、ポールの周りをくるくる踊っている。 「おお、キルギスなかなか開放的ではないか」などと思っていると、だんだんポップミュージックになっていき、 みんな前方ダンスフロアからスーっと捌けていく。そして、何やらおっさんMCが登場。 何を言ってるか分からんが、周りは結構盛り上がっている。そのうち、MCが「ダバイダバイダバイダバイダバイ ダバイダバイダバイィィィ!!」と、「ダバイ(=英語のOKのような、何にでも使える意味のロシア語)」を連呼する ようになったかと思うと、おもむろに群集の中から男女3人ずつをピックアップし、適当に男女ペアを3組作ったか と思うと、3人は音楽に合わせて踊り始めた。 「ふーん、ねるとんのようなサービス付きか。キルギスのクラブは出会いの場でもあるんかなぁ」と思いながら ボケーと見てると、なんとペアが音楽に合わせながらお互いの服を脱がせ始めた。 まさかの即席ストリップショー!当然男の方など誰も見ていない、「さぁ早く脱がせよコノヤロー」 いう無言のふきだしがニヤニヤした男達の頭の上にはっきりと見える! そして一組のペアの男(すでにパンツ一丁)が、ペアの女性のブラを剥ぎ取り、女性が「キャーッ!」という感じ で手で胸を覆い隠したとき、「ダバーーーーーーーイ!!!!」とMCが女性を隠すように前に出て、 3組6人はそれぞれの服を持ちながら散っていき、即席ストリップショーはこれにて終了となる。 ・・・何というキルギスタンの乱れきった風紀。この国を「中央アジア」に含めていいものなのか、仮にもイスラム 国家ではないのか?イスラムの教えに忠実なサウジなどの国では女性が髪の毛を見せるだけで罰せられると 聞くが、ここキルギスでは女性はあやうく 即席ストリップショーが終わると再び前のようなダサめの音楽に合わせてみんな踊り始めたが、正直ダサいと 分かりきっている普通の音はもはやいい。クラブで素人ストリップ、すばらしいオリジナリティーではないか、 Heavenよ。やはりB級都市クラブ巡りは、B級であればあるほど面白い。 そうこうするうちにすでに昼からかなり飲んでいる僕とデイビッドはだんだんフラフラになってきたので、帰れなく なる前に退散。するとその帰り道、どこからともなく低音が聞こえてきて、音に吸い寄せられるようにその建物に 入っていった。すると普段はレストランであろう店がテーブルを捌け、DJブースをつけて音を出しつつ客が思い思い に踊っている。 僕:「ここは入場フリーっすか?」 店員:「おう、まぁ踊っていけよ」 という軽い感じで入れてもらい、踊り始めた。お客は20人くらいいただろうか、みんなこの闖入者たちを暖かい 笑顔で迎えてくれた。音は民族音楽チックなダンスミュージック、なかなか好みである。するとDJが英語で話しか けてきた。 DJ:「君ら、名前は?どこから来たんだい?」 僕:「僕はシンヤ、日本からです。」 デ:「I'm David, from Australia!」 DJ:「OK。エブリワーン、リッスン!今日は外国からゲストが来てくれたぞ、シンヤーーフロム ジャパーーン!デイビッドーーフロムオーストラリアーー!!」 おお、これはかなり目立っている。そして盛り上がっている。酒のおかげでテンションは高い、音もなんだか すごく心地いい、みんな笑顔で雰囲気も最高。多幸感バッチリ、キルギスタン楽しいっす! という感じで気づけば1時間近く経ち、デイビッドはさらにフラフラなのでようやく宿に帰ることに。宿に帰るともう 真夜中なので門が閉まっており、なんとか塀を乗り越えて潜入したが、今思えば泥棒と間違えられて撃たれなくて 良かった。 こうして楽しいクラブ巡りの一日だったが、翌日からデイビッドは二日酔いと風邪をこじらせて2日間寝込むこと になる。 さて、このままビシュケクでダラダラしていてもいいのだが、キルギスが誇る神秘の湖・イシククル湖には行って おきたい。そのタイミングを見計らいつつ相変わらずダラダラと飲む生活をしていたが、ある日インターネットカフェ で仲良くなった店員の女の子・チナーラ(23歳・美女)が「私、明日友達とイシククル湖に行くの、良かったら一緒 に行かない?」と誘ってくれたため、当然OKして病み上がりのデイビッドを無理矢理連れて翌日イシククル湖へ 向かうことに。 先にイシククル湖に着いてチナーラに電話をすると、「ごめんなさい、友達に急な仕事が入って行けなくなったの、 明日には行けると思うわ。」という返事。いやーそれはしょうがないよ、明日待ってるよ、と調子のいい返事をし、 デイビッドと男二人で寂しく浜辺でビールを飲む。 翌日、またチナーラに電話をすると、「仕事が長引くみたいで、今週は無理っぽいわ、ごめんなさい。」とのこと。 ・・・さあデイビッドよ、まずはビールでも買うか、まだ朝の10時やけど。 そもそも、イミグレの係員がPCゲームに熱中してるような国で「急な仕事」という存在は非常に疑わしい が、まぁそこはチナーラを信じるとともに、23歳の女の子の言葉に翻弄された大の男二人がまず恥じるべき であろう。 さて、イシククル湖。南を天山山脈、北をアラタウ山脈に囲まれ、なかなか発見されなかった湖である上に、旧ソ 時代は外国人の来訪ができなかったため、長く「隠された湖」として有名だった。標高は少し高く2,000mくらい だろうか、8月末でも朝晩はもう寒いくらい。だが昼間は暑く、7・8月は海が近くにない中央アジアの人々にとって 絶好の湖水浴リゾートとなる。 僕らが行ったのは湖の北側、ボステリという街。南側は手付かずの自然が残るが宿などがあまりなく交通も不便、 北側は南にそびえる天山山脈を見ながら泳ぐことが出来るとあって、リゾート地として開発され、有名なチョルポン アタという町は外国人も多く訪れるが、ボステリはまだ自国民のためのリゾートという感じでのんびりしている。 チナーラに振られた僕たちだったが、同じ宿のカザフスタンギャルズやキルギス人&トルクメニスタン人の カップルと仲良くなり、一緒に泳いだり飲んだりしてなかなか有意義な時間を過ごせた。何気に水の透明度は かなり高い。水温も昼間はちょうどいい。天気がイマイチだったのだが、それでも湖が地平線まで続き、その向こ うに雪山の連峰を仰ぎながら泳ぐことができる場所というのは世界広しと言えどなかなかないのではなかろうか。 こうして湖のほとりで3泊を過ごした後、キルギスタンの独立記念日に催されるというホースレースに合わせて ビシュケクに戻ることにした。 |
|
↑はるか遠くに天山山脈を望めるイシククル湖 |
|
TOP PAGE / BACK |
|
COPYRIGHT (C) 2008- Traveler's high ALL RIGHTS RESERVED |