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+ 中国E 遥かなる西チベットA (2008.09.23-26)
 9月23日朝8時。まだ外は真っ暗。朝8時といっても、ウイグル自治区で使われているローカルタイムではまだ
6時である。そういえば中国はこれだけバカでかいにもかかわらず時間を北京時間に統一しているため、西の果て
にあるウイグル自治区では生活に支障がでないようローカルタイムを使っている。でもバスの時間なんかは北京
時間で標記されていたりするので、何か時間を尋ねたときは必ず最後に「北京時間?ウイグル時間?」を加える
必要がある。そんな場所は世界広しといえどもココぐらいだろう。

 と偉そうに書いておいてアレだが、前日に北京時間かウイグル時間か聞くのを忘れたため、とりあえず北京時間
に合わせて行ったわけである。

 ところが、ドライバーのおっさんの姿は見当たらない。それどころかほとんど人の姿がない。そしてこの日はなん
とロシア以来の雨が降っていた。おいおい 何で肝心なときに雨が降るのよ、カシュガルでダラダラしてたときなら
いくらでも雨降ってよかったのにさぁ。
 おそらくおっちゃんはきっとウイグル時間の8時に出発するんだろう。そうなると2時間も待たなければならない。
ただボケーっと待つのも勿体無いので、うまくいけばラッキーくらいの感覚でヒッチハイクを始める。しかし、そもそ
も車が滅多に通らない。通っても止まってくれる車は滅多にない。ごく稀に止まってくれた車に中国語で必死に
交渉するが、全くお話にならない。トラックはもちろんのこと、普通の乗用車やタクシーにも当たってみたが、
半分呆れられる始末。そりゃそうだ、ここから何十時間もかかるアリまで行くタクシーなんてないだろう。

 そうこうするうちに夜が明け、ウイグル時間8時を迎えたが、昨日のトラックは見当たらない。すっぽかされたん
かな?こっちはもうチェックアウトも済ませて準備万端なのに・・・
 ダメもとでヒッチハイクを続けていたところ、一台のトラックが停車。なんと、アリまで乗せて行ってくれるようだ。
喜んでヒロノブ君と2人で20mほど離れたところに置いていた荷物を取りに行くと、なぜかその間にトラックは走り
去ってしまった。おいコラ、嫌がらせか!それとも、始めから僕の中国語が通じてなかったのか?だとしたら、今ま
での交渉もちゃんと通じていたのか疑問である。何せ、中国語は友人に貰った100均の中国語会話本が先生だ。

 さらに粘ること数十分、一台の乗用車が停車。横の部分に「公司」と書かれているので、会社の車だろうか。
アリまで乗せてほしいというと、「明日の朝でよければ」とのこと。喜んでOKし、「明日の朝同じ時間にココで」と念を
押す。
 ぼちぼちヒッチハイクのテンションが下がってきたため、結局同じ宿に再チェックイン。宿の前のランクルにも聞い
てみると、「人が集まれば出発する、1人600元(約9,600円)」とのこと。保留にしておいたけど、結構アリ行き
乗せてくれそうやん、また希望が出てきたぞ!中華料理で回復し、またGBAでFFTをしながら時間をつぶす。

 9月24日、またも雨が降る中、朝から昨日のなんとか公司の車を探す。すると時間通りにやってきた!しかし
運転手のおっちゃん曰く、「雨で道が水没してるから今日と明日は無理だ」だと!今まで1ヶ月以上雨なんか見て
ないのに、このタイミングで雨かよ!最悪の展開。とりあえず電話番号を聞くが、明後日まで待つのはビミョー。
 昨日いたランクルもいないし、しかたなくそのへんのホテル裏の駐車場でトラックに聞きまくるが、ことごとく無理。
どうやらアーバンからすぐのクティという町の検問がそうとう厳しいらしい。「通行証を取ってこい」とみんな口を
揃えて言うけど、だからそれが外国人は取れないんだってば。去年まではナシで行けてたはずなのに!!

 途方に暮れていると、立派なホテルの裏側でおっさんに「アリに行きたいのか?」と声をかけられる。行きたい
っすと答えると、ランクルのところに連れて行かれる。超ゴツくて悪そうな運ちゃんが、「明日出発、もう乗客は揃って
いる、1人1000元ならいい」と。1人1000元って!!16,000円は高すぎるやろ!
 しかし選択肢の全く無い僕ら。足元見られているのは悔しいが、それで西チベットに行けるんなら払ってやろう
じゃないか。OKし、明日の朝11時に約束する。

 ついに出発できるぞ!ヒロノブ君といつもの中華料理屋でハデに祝杯をあげる。とはいっても中国、何せビール
が安くて商店だと2元(32円)で買えるので、わりと毎日飲んでるけど。しみじみとビールと中華料理のウマさを
味わいながら、「いやーカシュガルから長かったねー」と思い出話なぞしながら旅の夜は更けてゆく。

 9月25日。チェックアウト時、なぜか宿のおばちゃんがブチギレている。たぶん前日に僕らがチェックアウトする
と言っておきながらしなかったせいじゃないかと思われるが、中国語でまくしたてられても全く理解不能。更に前日
までの料金は払っておいたのに、僕らが払ったおじさんがおらず、おばちゃんはソレを理解してないのでもう1泊分
をもらおうとして譲らない。下手な中国語でなんとかかんとか説明し、デポジット金を返してもらったが、そのお金を
思いっきり投げつけて渡された瞬間、こちらもプチンと切れてしまった。ひとしきり日本語だか英語だか中国語だか
分からない言葉で文句を言い、受付のカウンターにパンチと蹴りを入れてからその場を去った。
 旅で不快な思いをすることはたまにあるが、最近は旅にも少し慣れてきて、怒りや不快感をあらわにすることは
何も生み出さないことに気がついたつもりだった。怒っても解決にならないことは分かっていたつもりやったのに・・・
 でも、日本での生活を考えると、ここまで怒りを爆発させることは滅多にない気がする。と同時に、喜びも悲しみ
もそこまで表にあらわすことはしない。僕はよく「感情の起伏が少ない」と言われるけど、そんな僕も旅の間は感情を
あらわにすることが多い。たまには感情を爆発させることも、目に見えないストレスを解消させるにはいいかもしれん
な、と自分に言い聞かせてみた。けど、やっぱ怒らないに越したことは無いよなー。周りも不快にさせるしさ。

 さて、そんなこんなでちょっとささくれ立っていたが、ランクルがちゃんとホテルの前にいたので気をとりなおす。
いよいよ出発だ!・・・と思っていたら、運ちゃんたちは何故か朝から隣の雀荘でマージャンを始めた。いやいや、
おっさん。早く出発しようよ。

 「カシュガルから来るはずの他の乗客が遅れているからまだ出発しない。まぁその辺でメシでも食ってきな!」
だそうです。それじゃあと、いつもの中華料理屋でメシ食ってから戻ると、当然まだマージャンやってる。ヒマなの
でずっと後ろで見ていたら「お前らもやるか!?」と声をかけられたが、ルールが違うし、何より賭け金が半端じゃ
なさそうなのでやめとく。だって、100元札がぼんぼん飛び交ってますよ。一回のアガリで200元とか払ってる
人いますが。あんたら、生活大丈夫か?
 そう、中国のマージャンはルールが違う。いや、日本のルールもあるのかも知れないが、僕がずっと見ていた
限りではもっと単純で、あまりおもしろそうではなかった。

 ていうか、僕は
マージャンを見るためにアーバンに来たんじゃない。いい加減出発しろよ。

 すると夕方近くになって、他の乗客がやってきた。漢民族のおじさん3人組。今すぐにでも出発したい僕らだが、
どうやら彼らは今カシュガルから着いたばかりで疲れているし、お腹も空いているらしい。そうね、まずは腹ごしらえ
って重要やもんね。僕だってご年配の方々を急かすほど心は狭くないよ。

 運ちゃん:「もう遅いし、彼らは疲れているらしいから、明日出発にしよう!」

 ・・・はい?朝から待たせておいて明日ですと?
あんた鬼ですか(涙)?

 ひとしきり文句を言ったが埒が明かず、「もーいいからメシでも食って来いよ、俺はマージャンで忙しいんだ」と
開き直りなすったので、もうこちらも笑うしかなく、とぼとぼと中華料理屋にいってエネルギーを満たし、
ちょっとだけいい宿にチェックインして、寂しくGBAでFFTをやりながら眠りに落ちた。

 9月26日。僕らは朝からいつでもスタンバイOK。ヒロノブ君とは「さすがに今日がラストチャンスやね」と話して
いる。まさに勝負の日。すると10時頃、ランクルが軽やかにやってきて、運ちゃんが「よっしゃ、今日出るぞ!」と
頼もしげなことを言うではないか!いよいよかー、じゃあ僕らもチェックアウトして準備万端にしておくよ!

 ・・・2時間が経ち、僕らは何故か隣の雀荘でマージャンをする運ちゃんたちの後ろに座っていた。

 運ちゃん:「ちょっといろいろ手続きとかいるからさ、まぁメシでも食って待っといてくれよ!」

 そして、僕らはまたいつもの中華料理屋でメシを食らう。中華料理屋の兄ちゃんもあきれ顔で「まだいたのかい」
と笑われる始末。ちなみにここの中華料理屋はもう5日ほど通っているが、「アリへは外国人は無理だってば」と
初日から言われ続けている。

 そうして雀荘へ戻ると、運ちゃんがいない。何でも公安(警察)の人らとメシを食ってるらしい。なぜに公安とメシ
を!?僕らが絡んでいるんじゃないのか?その場へ行ってみると、「やっぱ君らは通行証が必要なんだって。
いま公安の上司に確認してもらってるからもうちょっと待って。」ですと。

 イヤイヤイヤイヤ、今までめっちゃ時間あったやん?昨日のうちに確認してよ、せめて!なんかもう、怒る気力
もなくなってきた。とりあえず僕らにできることは他の乗り物を探すか待つことだけ。他のトラックとかは昨日までに
もうイヤになるほど断られたのでやる気が起きない。とりあえず雀荘でFFTをしながらひたすら待つ。ヒロノブ君は
その辺の子どもと一緒に遊んでいる。彼は子どもと仲良くなることも特技だが、泣かすことも特技である。最初は
仲良く遊んでいるのだが、気づくといつも子どもが泣いている。どうやったらそんなに子どもを泣かせられるんだい?

 さて、運ちゃんは昼メシから帰ってきてマージャンを再開している。1時間に1回、様子を聞くが、彼はもはや
マージャンに夢中である。
 もう日が暮れ始め、いい加減諦めようかと思ったところ、彼の携帯電話が鳴った。どうやら僕らのことを話している
ようだ。ちらちらとこっちを見てくる。電話を切ったので、「出発できるのか!?」と聞く。すると・・・

 運ちゃん:「やっぱ無理だって。てへ。」


 
ちゃらーちゃちゃらーちゃちゃー(マリオのゲームオーバーの音)


 ま、負けた・・・中国人民政府に完敗しました。
 この何も無いアーバンの町で1週間、何十台ものトラックと、ランクルと、バスと、乗用車と、タクシーと交渉し、
ひたすら断られ続け、チャンスは目の前で手のひらの隙間からこぼれ落ちていき、FFTと2人トランプと中華料理
だけを楽しみに耐え過ごしてきたが、ついにカシュガルへ敗走することになってしまった。

 旅を始めて2ヵ月半、ビザやレジストレーションの問題が多いロシアや滅多に旅行者のいないカザフなどを通り
抜け、小さなトラブルや変更はあったものの、大体予定通り行きたいところに行けていたので、「まーもう戦場以外
はどこでもいけるやろー」と天狗になっていた自分に気がついた。

 この旅初めての失敗。それも、前半で最も楽しみにしていた西チベットだ。しかし、これ以上時間を浪費するわけ
にはいかない。ビザだって1ヶ月しかないのにもう1週間使ってしまった。ここは一旦ひき返し、別ルートでチベットに
向かうことにしよう。
 僕らはその足でイエチョンに向かい、日が暮れてからバスをつかまえてカシュガルへと戻っていった。


 ああ遥かなる西チベットよ、また会う日までお元気で!



    ↑もう見たくないマージャンの様子。左のメガネがランクル運ちゃん



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